幸福

ポジティブ心理学で幸せを実現する方法(1)幸せになるために必要な6つの要素

私たちは何のために生きているのか

「何のために生きているのか?」と聞かれたとき、ほとんどの方はこう答えると思います。

「幸せになるため」

そう、仕事で活躍して社会に貢献することも、それによりお金を稼ぐことも、平和のためにNPO団体に所属することなども、すべて「幸せになるため」の手段であることは、みなさん気づいているのです。

では、いったい何をすれば幸せになれるのか?そもそも、幸せってなんだ?

一段深掘りしようとすると途端に雲をつかむように漠然としてしまうのが幸せ、ウェルビーイングという概念です。

当ブログでは本稿より数回に分けて、ウェルビーイングに関する科学的・哲学的研究を踏まえて、現代に生きる日本人がウェルビーイングを実現し、健やかな生活を送る方法について考えていきます。

ウェルビーイングを科学する学問「ポジティブ心理学」

「幸せとは何か?」を厳密に定義することは極めて困難です。古代ギリシャ時代にかのアリストテレスが『二コマコス倫理学』を執筆してこの壮大な問いに向き合い始めてから2,000年以上が経過していますが、厳密な定義はなされていません。今後も簡潔に言語化されることはないでしょう。

この問いに対して、哲学的アプローチで真っ向から向き合うことにも大変価値がありますが、それは別の機会に譲るとして、本稿ではより実証的な学問であるポジティブ心理学の知見を出発点としたいと思います。

この学問は、従来の心理学が病や障害の治療に焦点を当てていたのに対し、個人の強みやポジティブな経験に注目します。ポジティブ心理学の創始者であるマーチン・セリグマンは、ウェルビーイングを向上させるための理論や実践を提唱しました。

彼は、幸福感や満足感は偶然に訪れるものではなく、意識的に育てていくべきものであると強調します。そして、ウェルビーイングを実現するための具体的なフレームワークとして有名なのが、PERMA-Vです。

ウェルビーイングを実現するための最強のフレームワークPERMA-V

PERMA-Vは、ポジティブ心理学の理論を基にした、ウェルビーイングを向上させるための要素をフレームワーク化した概念です。6つの要素の頭文字をとってPERMA-Vとよばれています。

P (Positive Emotion) - ポジティブな感情

E (Engagement) - 没頭感

R (Relationships) - 良好な人間関係

M (Meaning) - 意味や目的

A (Accomplishment) - 達成感

V(Vitality) – 活力(心身の健康を含む)

それぞれの要素の詳細は別記事にて言及したいと思いますので、ここではざっくりとした紹介をしておきます。

1. Positive Emotion(ポジティブな感情)

いきなりド直球ですが、嬉しい、楽しい、大好きといった、日常の中で感じるポジティブな感情のことです。日々の中で、感謝の気持ちを抱くことやポジティブな出来事に目を向けることが重要とされます。

2. Engagement(没頭感)

没頭感は、何かに夢中になる体験を指します。趣味や仕事、スポーツなど、自分が情熱を持てる活動に時間を割くことで、深い満足感が得られるとされており、心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱したことで有名な「フロー」という概念も、Engagementに包含される概念といえます。

3. Relationships(良好な人間関係)

良好な人間関係を築くことで、社会的な支えを得ることができ、孤独感を軽減することができます。

「幸福な人生を送るための鍵は何か?」についてハーバード大学が84年にわたる長期の研究を行った結論は、「人間関係」でした。6つの要素の中でも、とりわけ重要な要素だといえます。

4. Meaning(意味や目的)

自分の人生における意味や目的を指します。「生きる意味って何だろう」なんて少し意識が高い気がして気が引けるかもしれませんが、確固たる目的を持つことは、一つ一つの行動・決断に自信を与えてくれます。

5. Accomplishment(達成感)

何かを達成し成功体験を積むことは、自己成長と達成感をもたらします。さらに大きな目標へと挑戦する意欲が湧くこともあります。

Vitality(活力)

心身の健康を意味します。もともとはPERMAというフレームワークだったのですが、研究が進むにつれてPERMAの基盤として心身の健康が重要だと認識されるようになりました。いうまでもなく、食事、運動、睡眠といった基本的な生活習慣が、ウェルビーイングに与える影響は計り知れません。

幸せな人生を歩むために今日からできること

ウェルビーイングを実現する6つの要素それぞれを満たせているか、確認してみましょう。

たとえば、

「直近の仕事の調子が良く、現在もやりがいのあるプロジェクトに没頭できているから、Engagement、Meaning、Accomplishmentは満たせている。ただ深夜までオフィスで残業し、夜ご飯をカップ麺で済ますことも多く、家族とのコミュニケーションの時間も減ってしまっている。RelationshipsとVitalityは改善の余地があるな。生活習慣の悪化が、Positive Emotionにも悪影響を与えている気がする」などと分析することができるでしょう。

この場合はもちろん、RelationshipsとVitalityをどのように改善していくべきかを考えていく必要があります。残業が避けられないのならせめてコンビニでは健康に良いサラダチキンや野菜を食べるようにする、朝食は家族で一緒に食べるなど、できることから少しづつ始めることで、幸福感は高まっていくはずです。

まとめ

私は仕事柄数多くのフレームワークに触れてきましたが、人生を変えるフレームワークとして、このPERMA-Vの右に出るものはありません。

何かうまくいかない時、落ち込むことが増えた時、はたまたすべてがうまくいっていて逆に心配になるとき、PERMA-Vの力を借りることで、自分の人生より良いものに変えていきましょう!

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